児玉晃一『難民判例集』

二十年前に出版されたこの判例集を読むことにどんな意味があるのか、いまひとつ定かではないが、ただいま「読書デモ」中であり、先日読んだ『入管問題とは何か――終わらない〈密室の人権侵害〉』の著者、児玉晃一さんの本が読みたかったので、手に取った。/

 

【⑥名古屋高裁平成1622日決定(略) 

ビルマ難民に対して発付された退去強制令書の収容部分・送還部分の執行停止が高裁段階でも認められた事例 

 

「回復の困難な損害を避けるための緊急の必要」 

「収容(拘禁)が違法なものであった場合、それによって被った損害は原則として金銭により賠償されることになるところ、拘禁反応は精神的なものであり、拘禁反応により精神に変調を来した場合には、慰謝料等により損害を償うとしても、精神状態について回復をもたらすわけではなく、しかも、精神的なものであるから、かかる損害は回復困難な損害に該当すると認めるのが相当である。(略)」】/

 

 

◯収容所での死亡者数(1993年〜2022年):26人/

死因:病死(脳血管疾患や心筋梗塞など)16人、自殺8人、暴行死2人/

(山村淳平著『入管解体新書: 外国人収容所、その闇の奥』)/

 

 

《自殺未遂者はあとをたたず、2009年以降は年間40人以上にものぼっている(略)。この間の自殺者は、2008年1人(略)、20091人(略)、2010年2人(略)、2018年1人(略)、2022年1人(略)である。》(同上)/

 

 

このように医療体制が整備されていない現状を鑑みれば、入管の全件収容主義及び無期限長期収容は、 

「何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない。 」と定めた憲法31条に違反していないだろうか?/

 

 

外国人の人権享有主体性については、

[総論]:

学説:

否定説・準用説、肯定説があり、肯定説はさらに、文言説と性質説に分かれるが、憲法が保障する人権の性質によって、外国人に対し、人権が保障されるか否か、判断するとする肯定説が通説とされている。/

 

判例

「外国人に対する憲法基本的人権の保障は、右のような外国人在留制度のわく内で与えられているにすぎない」(マクリーン事件判決)/

 

[各論]:

人身の自由:

《外国人は、人身の自由も享有する。(略)憲法31条の、外国人への適用の有無を問われて、高辻正巳内閣法制局長官(当時)は、「三十一条の法意が外国人に適用になることは当然」であると答弁している。》(那須俊貴「憲法と外国人」)/

 

 

入管法上の強制処分にも憲法31条が準用されると解される。》(大橋 弁護士・児玉晃一 弁護士『「全件収容主義」は誤りである』)/

 

 

那須俊貴「憲法と外国人」:

 

https://dl.ndl.go.jp/view/download/digidepo_999336_po_20080113.pdf?contentNo=13

 

 

 

大橋 弁護士・児玉晃一 弁護士『「全件収容主義」は誤りである』:

 

http://iminseisaku.org/top/pdf/journal/001/001_085.pdf